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どうひょう

道標

宮本 百合子

第一部「展望」筑摩書房、1947(昭和22)年10月号~1948(昭和23)年8月号<br> 第二部「展望」筑摩書房、1948(昭和23)年9月号~1949(昭和24)年5月号<br> 第三部「展望」筑摩書房、1949(昭和24)年10月号~1950(昭和25)年2月号、1950(昭和25)年4月~12月号<br> 資料「展望」筑摩書房、1949(昭和24)年8、9月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 846,457 字 · 1672 页

青空文庫

(変りもの)というアフィノゲーノフの四幕もののことだった。舞台にのぼる五ヵ年計画の英雄の型がきまって来て、意義ある活動をするのは共産党にきまっているようになった。アフィノゲーノフの喜劇は、その型をやぶって、共産党員でない「変りもの」が彼の流儀で成就する階級への協力をとらえた。「変りもの」をそんな風に活躍させるゆとりを知っていた職場細胞の指導者へ、観客の関心をほどよくひきつけながら。――

「チュダーク」(変りもの)はあたたかい笑いで観られていた。

マヤコフスキーの「風呂」の主人公、プロレタリア発明家はチュダコフという名だった。それはチュード(奇蹟)からもじられた名だった。彼は、幕切れで、妙な高いところへ姿を消してしまった。チュダークはその字のままに変り者で、だがチュダークの本質は決してへんくつな変りものではなかった。陽気な舞台で、軽くちを云いながら、痛烈に官僚主義と石頭とをやっつけ、人々を笑わせている本心は地道なチュダークを眺めながら、伸子は、マヤコフスキーと全くちがったアフィノゲーノフの人生における、しなやかで、もちのいい智慧のようなものを感じた。