轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
どうひょう
道標
宮本 百合子
第一部「展望」筑摩書房、1947(昭和22)年10月号~1948(昭和23)年8月号<br> 第二部「展望」筑摩書房、1948(昭和23)年9月号~1949(昭和24)年5月号<br> 第三部「展望」筑摩書房、1949(昭和24)年10月号~1950(昭和25)年2月号、1950(昭和25)年4月~12月号<br> 資料「展望」筑摩書房、1949(昭和24)年8、9月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 846,457 字 · 1672 页
ロンドンでわかれた弟の和一郎と小枝の、そういう帰朝写真を、日本から送られて来る新聞の上に発見したとき、伸子は、姉らしく苦笑した。若い夫婦の生活のなかで、のびやかに美しくなりまさっている小枝。日本の男は外国に生活しているとき、だれでも内地にいるときよりは表情がひきしまって、ましに見える、そのような表情で小枝のよこに立っている和一郎。その写真に、短いインタービューの記事がついていた。その文章をよんだとき、伸子は、体じゅうが腹立ちでほてるようだった。和一郎の談話として書かれているのは、ともかくも、建築家である彼ら若夫婦が、なけなしの旅費を工面してイタリーの建築や美術を見て来たということでもなければ、フランスのコルビュジエの新しい建築「前衛」の室内装飾についてでもなかった。和一郎は、何のつもりか、「姉のすすめにしたがって、イギリスの家庭生活を見ならって来ました」と語っているのだった。イギリスの家庭生活! それを見ならって来た! 姉のすすめ、という姉の上にはカッコをつけて作家佐々伸子と、註までしてあるのだった。
伸子は、眼にくやし涙をうかべるばかりだった。