轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
どうひょう
道標
宮本 百合子
第一部「展望」筑摩書房、1947(昭和22)年10月号~1948(昭和23)年8月号<br> 第二部「展望」筑摩書房、1948(昭和23)年9月号~1949(昭和24)年5月号<br> 第三部「展望」筑摩書房、1949(昭和24)年10月号~1950(昭和25)年2月号、1950(昭和25)年4月~12月号<br> 資料「展望」筑摩書房、1949(昭和24)年8、9月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 846,457 字 · 1672 页
その考えには、伸子を生理的に嫌悪させる卑俗と空虚がある。伸子としては、ほとんど欺瞞と感じられるものがあった。
伸子は、考えの重さのために、われ知らず足音をしのばすような歩きつきで、ホテル・パッサージの階段をのぼり、ノックするのを忘れてそっと自分たちの部屋をあけた。
素子が、びくっとして、デスクからふり向いた。
「どうした、ぶこ!」
「どうしもしない」
幾日ぶりかで、素子が素子らしい顔と声とで伸子のそばへよって来た。
「ほんとに、どうもしないか?」
伸子は、合点した。
「ぶこ、バスなんかに轢かれなや」
伸子はまた合点した。口をきいたら声がふるえて泣きそうだった。
モスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)に、そろそろ白夜がはじまった。自分のするべきことは何だろう。思いつめて、伸子は、自分は日本へ帰るべきだ、と考えるようになった。素子とつれだって伸子がそこから出て来た日本ではなく、モスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)の三年で、伸子に新しい意味をもって見られるようになって来た、その日本へ。それは佐々のうちのものの知らない日本であった。百万人の失業者があり、権力に抵抗して根気づよくたたかっている人々の集団のある日本へ、伸子は全くの新参として帰ろうと決心した。