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どうひょう
道標
宮本 百合子
第一部「展望」筑摩書房、1947(昭和22)年10月号~1948(昭和23)年8月号<br> 第二部「展望」筑摩書房、1948(昭和23)年9月号~1949(昭和24)年5月号<br> 第三部「展望」筑摩書房、1949(昭和24)年10月号~1950(昭和25)年2月号、1950(昭和25)年4月~12月号<br> 資料「展望」筑摩書房、1949(昭和24)年8、9月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 846,457 字 · 1672 页
「おかけなさい」
そして、自分もゆったりした肱かけ椅子にかけながら、
「私の息子です」
わきに立っている若い男を伸子たちに紹介した。
「私の秘書として働いています」
多分このひとの子供だろう、ゴーリキイが、赤坊をだいてとっていた写真のあることを伸子は思い出した。
ゴーリキイは、伸子たちに、ソヴェトをどう思うか、ときいた。
伸子は少し考えて、
「大変面白いと思います」
と答えた。
「ふむ」
ゴーリキイは、面白い、という簡単な表現がふくむ端から端までの内容を吟味するようにしていたが、やがて、
「そう。たしかに面白いと云える」
と肯いた。
「ソヴェトは、大規模な人類的実験をしています」
そして、日本へ行ったソヴェト作家の噂が話題になった。また、日本で翻訳されているゴーリキイの作品につき、上演された「どん底」につき、主として素子が話した。
素子は、素子の訳したチェホフの書簡集を、伸子は伸子の小説をゴーリキイにおくった。ゴーリキイは、綺麗な本だと云って伸子の小説をうちかえして眺めながら、日本の法律は婦人の著作について特別な制限を加えていないのかと素子に向ってたずねた。素子は、