轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
どうひょう
道標
宮本 百合子
第一部「展望」筑摩書房、1947(昭和22)年10月号~1948(昭和23)年8月号<br> 第二部「展望」筑摩書房、1948(昭和23)年9月号~1949(昭和24)年5月号<br> 第三部「展望」筑摩書房、1949(昭和24)年10月号~1950(昭和25)年2月号、1950(昭和25)年4月~12月号<br> 資料「展望」筑摩書房、1949(昭和24)年8、9月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 846,457 字 · 1672 页
――御承知のとおりイギリスの礼儀では子供と召使は見られるべきものであって、自分から口を利くべきものとはされて居りませんからね。――その給仕頭は適切な方法で自分を表現したというわけです」
灰色の背広を着て、薄色の髪とあご髯とをもった歴史教授のリジンスキーが、すこしさきの赤らんだほそい鼻が特色である顔に内省的な、いくらか皮肉な微笑を浮べた。
「それは一九〇五年のエピソードであると同時に、その給仕頭の一生にとって恐らくたった一遍のエピソードじゃありますまいかね。――そこにディケンズの国の平穏な悲劇があるんだが……」
老嬢のエレーナが、心のなかにかくされているいらだたしい何かの思い出でも刺戟されたように、
「大体エピソードというものをわたしたちはどのくらい信用したらいいんでしょう」
テーブルの上においている右手の細い中指でテーブル・クローズの上を軽く叩きながら云った。
「エピソードに誇張が加えられなかったことがあるでしょうか――ほとんど嘘に近いほど……」
「お言葉ですが――御免下さい」
袋を二つかさねたようなだぶだぶの顎をふるわして、パーヴェル・パヴロヴィッチが舌もつれのした云いかたでエレーナに答えた。