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どうひょう

道標

宮本 百合子

第一部「展望」筑摩書房、1947(昭和22)年10月号~1948(昭和23)年8月号<br> 第二部「展望」筑摩書房、1948(昭和23)年9月号~1949(昭和24)年5月号<br> 第三部「展望」筑摩書房、1949(昭和24)年10月号~1950(昭和25)年2月号、1950(昭和25)年4月~12月号<br> 資料「展望」筑摩書房、1949(昭和24)年8、9月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 846,457 字 · 1672 页

青空文庫

日本語で書いたものをロシア語に翻訳してのせるということだった。どうせ考証ぬきの素人がかくことだからせめて文章そのものから白と黒との幻想に描きだされる鷺娘のファンタジーを読者につたえようと努力した。日本の古典的な舞踊の伝統の中に、さらさらとふりかかる雪と傘とがどんなに詩趣を添える手法として愛されているかということなどもかいた。

「どうせわたしにわかる範囲なんだから単純なことなんですけれどね、一生懸命に書いているうちに、段々妙なきもちになって、こまっちゃった」

そう話している伸子とテーブルをはさんでかけているのはドイツから来ている映画監督の中館公一郎と歌舞伎の一座の中で若手の俳優である長原吉之助、素子、そのほか二三人の人たちだった。場所はボリシャーヤ・モスコウスカヤ・ホテルの部屋だった。中館公一郎があしたソヴ・キノの第一製作所へエイゼンシュタインの仕事ぶりを見学にゆく、伸子たちも一緒にということで、伸子たちはその誘いをよろこんでうち合わせに寄ったのだった。

歌舞伎の俳優たちは左団次を中心に、短い外国滞在の日程を集団的に動いていて、個人的な自由の時間がなかなか見つからないらしかった。