轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
どうひょう
道標
宮本 百合子
第一部「展望」筑摩書房、1947(昭和22)年10月号~1948(昭和23)年8月号<br> 第二部「展望」筑摩書房、1948(昭和23)年9月号~1949(昭和24)年5月号<br> 第三部「展望」筑摩書房、1949(昭和24)年10月号~1950(昭和25)年2月号、1950(昭和25)年4月~12月号<br> 資料「展望」筑摩書房、1949(昭和24)年8、9月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 846,457 字 · 1672 页
「結構だわ。いい外套ですよ」
グーセフたちは今年の冬は組合住宅へ住むようになった。そして、木綿綾織の裏がついた綿入外套でない毛皮外套を初めて着て夫婦でお客に招かれてゆけるようになった。グーセフの細君の生活のよろこびは、ノヴォデビーチェの新開町そのものに溢れている新生活のよろこびだった。ルイバコフの細君は決して身につけていない飾りけなさで、また遠慮ぶかいルケアーノフの細君にはできないあけっぱなしの単純さで、保健婦グーセフは何と気もちよく彼女たちの生活の向上を伸子にまでつたえるだろう。一面から云えば、この部屋がたえがたくがらんとしているのだって、ソヴェトにおける急速な勤労者生活の向上の結果なのだと思うのだった。
毛皮外套をかかえてグーセフの細君が出て行ってしまうと、伸子はふたたび、緑色の灯かげが動かないと同じように動かない淋しさにとりまかれた。グーセフの細君には、彼女の下宿人がこんなに、たっぷり空気のある部屋にいて、どうしてそんなに淋しがる必要があるのか、しかも淋しがっていることをどうしてだまってこらえていなければならないのか、それらのことは全然想像もされていないのだった。