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どうひょう
道標
宮本 百合子
第一部「展望」筑摩書房、1947(昭和22)年10月号~1948(昭和23)年8月号<br> 第二部「展望」筑摩書房、1948(昭和23)年9月号~1949(昭和24)年5月号<br> 第三部「展望」筑摩書房、1949(昭和24)年10月号~1950(昭和25)年2月号、1950(昭和25)年4月~12月号<br> 資料「展望」筑摩書房、1949(昭和24)年8、9月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 846,457 字 · 1672 页
お前は姉さんのくせに――お前はしたいようにやってみるのもいいだろうが、和一郎まで煽動しておくれでないよ。そう云う多計代の二つの眼に伸子の言葉をはねかえす光が閃いた。伸子は、じゃまあいいようになさるといい。とそこを立ちかけた。でも、わたしがあのひとにたのまれて、こういうことを言ったことだけは覚えていて下さる方がいいことよ。
あのいきさつ――多計代の小枝に対する不満は、どう扱ったのだろう。伸子は、ベッドのかけものの上へ出している両手の間で電報をひろげたり畳んだりしながら思いめぐらした。和一郎も小枝もがんばりとおしたと見える。
伸子がソヴェトへ立つ前に一家揃ってとった写真の中には、制服をきちんと着て、ぽってりとした顔にまったく表情の動きのない保の姿がうつっており、前の例に、おかっぱで太い脚をして、はにかみと強情と半ばした口もとで小さいつや子もうつっていた。そのつや子までついてはるばるやって来る。――
この思いたちを、できるだけ豊富な収穫の多いものにし、愉快なものにするために、伸子は自分ものり出そうという気になった。自分の積極性をその計画に綯い合わして行こうと思いはじめた。