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どうひょう
道標
宮本 百合子
第一部「展望」筑摩書房、1947(昭和22)年10月号~1948(昭和23)年8月号<br> 第二部「展望」筑摩書房、1948(昭和23)年9月号~1949(昭和24)年5月号<br> 第三部「展望」筑摩書房、1949(昭和24)年10月号~1950(昭和25)年2月号、1950(昭和25)年4月~12月号<br> 資料「展望」筑摩書房、1949(昭和24)年8、9月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 846,457 字 · 1672 页
その記事は伸子も日本にいた間に新聞でよんだ。日本の新聞記事は、この事件でソヴェトの新社会が一つの重大な破綻に面し、またスターリンに対する反抗が公然化されたというような調子で書かれていた。そのドン・バス事件の公判が、伸子たちのモスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)へ来た前後からはじまっていた。一面を費し、ときには二面をつかって、反革命グループのスケッチと一緒に事件の詳細な経過が報告された。そういう記事は世界じゅうの文明国の新聞にのったとおり、モスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)発行のすべての新聞に掲載されていた。けれども、伸子は、この世界の視聴をあつめている事件の成りゆきばかりでなく、しんのしんにある意味というものをつかみたかった。こんなに執拗な階級的な憎悪。そしてそれらの人々としてはきわめて真剣に計画し実行されていた陰謀。それがその人々にとってどんなに真面目だったかということは、公判で、すべての被告が、理性的という以上に理論をもって陰謀を告白しているということでもわかった。そこには、ソヴェトの建設に傾注されている情熱と匹敵すると云っていいくらいの破壊と妨害への情熱があり、伸子はこれらの情熱の源泉としての憎悪、更にその憎悪の源泉としての利害のありどころについて知りたかった。