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どうひょう
道標
宮本 百合子
第一部「展望」筑摩書房、1947(昭和22)年10月号~1948(昭和23)年8月号<br> 第二部「展望」筑摩書房、1948(昭和23)年9月号~1949(昭和24)年5月号<br> 第三部「展望」筑摩書房、1949(昭和24)年10月号~1950(昭和25)年2月号、1950(昭和25)年4月~12月号<br> 資料「展望」筑摩書房、1949(昭和24)年8、9月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 846,457 字 · 1672 页
ドイツの共産党は合法的な政党として大きな組織をもっていた。K・P・Dという三つの字は、モスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)の生活をしている伸子たちにとっていつとはなしの親しみがあった。そのベルリンで、暴力的メーデーというのは、どういうことがおこったのだろう。その新聞記事につたわっている調子から、激しい武装衝突がおこったことだけはわかる。伸子と素子とは、ワルシャワで、ああいうせつないメーデーの断片とでもいう光景を目撃して来た。
「比田礼二や中館公一郎、大丈夫かしら」
伸子はあぶなっかしそうに、そう云った。ベルリン全市がただならぬ事態におかれたとすれば、日本の新聞記者である比田礼二や映画監督である中館公一郎にしても、その渦中にいるかもしれないと伸子は考えた。二人は、どちらも、この人々がベルリンからモスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)に来たときに伸子が会った人たちだった。二人がベルリンからモスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)へ来て見る気持の人々だということは、メーデーの事件がおこったとき、彼等がカーテンをひいてベルリンの自分の室にとじこもってはいまいと伸子に思わせるのだった。