轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

どうひょう

道標

宮本 百合子

第一部「展望」筑摩書房、1947(昭和22)年10月号~1948(昭和23)年8月号<br> 第二部「展望」筑摩書房、1948(昭和23)年9月号~1949(昭和24)年5月号<br> 第三部「展望」筑摩書房、1949(昭和24)年10月号~1950(昭和25)年2月号、1950(昭和25)年4月~12月号<br> 資料「展望」筑摩書房、1949(昭和24)年8、9月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 846,457 字 · 1672 页

青空文庫

三

率直ということが卑劣と相いれない本質のものであるなら、素子は卑劣でなかった。素子は伸子に対して、どんな場合も率直でないことはないのだから。けれども、伸子には、自分に向って率直にあらわされる素子の不安定な機嫌というようなものが切なく思われた。窓のそとでは大屋根の廃墟の穴の中へ雪が落ちているホテルの夜中、コトコト鳴るスティームの音をききながら、伸子は考えるのだった。そもそも、機嫌とは、何なのだろうか、と。そして、ぼんやりした恐怖を感じた。伸子は、はじめて機嫌を軽蔑する自分を感じたから。そして、一緒にくらして来た数年間、伸子は、素子の機嫌を無視した経験がなかったから。こうして伸子が何となしくよくよと物を思っているその夜の間も、羽搏きをやすめず前進しているモスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)生活で、どんな一つの積極的なことが機嫌からされているだろう。どんな一つの失敗が機嫌で拾収され得ているだろう。伸子は、ここまで来て、こういう感情にかかずらっている自分たち二人の女の貧寒を感じた。

三

つぎの夜、素子のところへ女教師が来たとき、伸子は気をつけていて、自分がドアをあけるようにした。