轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

どうひょう

道標

宮本 百合子

第一部「展望」筑摩書房、1947(昭和22)年10月号~1948(昭和23)年8月号<br> 第二部「展望」筑摩書房、1948(昭和23)年9月号~1949(昭和24)年5月号<br> 第三部「展望」筑摩書房、1949(昭和24)年10月号~1950(昭和25)年2月号、1950(昭和25)年4月~12月号<br> 資料「展望」筑摩書房、1949(昭和24)年8、9月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 846,457 字 · 1672 页

青空文庫

「ねえお父様、一等にしなけりゃほかの人たちに対して御都合がわるい? さっきみたいなことが、あした汽車にのっている間じゅうつづいたら、面倒じゃない?」

ホテル・ノアイユには、その日カトリ丸から上陸するとすぐにパリ行の列車へのってしまわなかった、幾組かの日本人がとまっていた。晩餐のために食堂へ出た佐々の六人が円くかけたテーブルは、間接照明にてらされている大食堂の、噴水の奥で、水滴の音の爽やかな気持のいい場所だった。木がくれたような風情をもったそのあたりには、金色のスタンドをつけて、幾組かの粋な二人用小卓もしつらえられているのだった。海辺のホテルでの献立には新鮮な魚介もあって、多計代は満足した表情で、あたりを見まわしていた。その多計代の目が、ふと、そのどれにも、華やかな夜のなりをした女と男とむかいあっている小テーブルの一つにとまった。

「おや、小枝さん、あすこのテーブルは、大高さんじゃないかい」

前から、その小卓に、眼隈の濃いマルセーユの女とさし向いでいる日本人に気づいていたらしい小枝は、

「さあ」

と、云ったきり、そちらを見ようとせず、うっすり赧い顔になった。