轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
どうひょう
道標
宮本 百合子
第一部「展望」筑摩書房、1947(昭和22)年10月号~1948(昭和23)年8月号<br> 第二部「展望」筑摩書房、1948(昭和23)年9月号~1949(昭和24)年5月号<br> 第三部「展望」筑摩書房、1949(昭和24)年10月号~1950(昭和25)年2月号、1950(昭和25)年4月~12月号<br> 資料「展望」筑摩書房、1949(昭和24)年8、9月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 846,457 字 · 1672 页
「どうですね、多計代。伸子がああ云っているが――いるものはありませんか」
それに答えず、ちょっと黙っていた多計代は、
「伸ちゃん、帰るのは、少し待って貰おう」
思いがけなくかたい、命令的な調子だった。
「こっちへ来ておくれ」
そろそろと近よってゆく伸子の顔を、多計代は椅子の上からふり仰ぐように見た。
「伸ちゃん、こんやは一つ、お前からすっかりお父様にお話して貰おうじゃないか。――おおかた伸ちゃんには、みんなわかっているんだろうから」
「わたしにわかっているって――なにが?」
多計代から泰造へと視線をうつしながら、伸子は、あんまり意外でナア、ニ、オ? とひとこと、ひとことひっぱった。
「話しに出ていたのは、和一郎さんのことじゃなかったの?」
「だからさ、あなたから、何でも思っていることをみんなお父様に云って、思うとおりにして頂いたらいいだろう、って云っているんですよ」
「へんだわ、お母様ったら」
単衣の下に骨だって見える母の肩つきや、白粉がむらになっているひきつめ髪の額を眺めて、伸子は悲しい、いやな気になった。
「和一郎さんから話をおききになったのはお母様じゃないの。