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さこく
鎖国
和辻 哲郎
日本の悲劇
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 443,306 字 · 875 页
わが国の十四・五世紀もまたそのような創造に乏しくないのである。能楽・茶の湯・連歌の如き、日本文化の独自の特徴を示すものは、みなこの時代に作り出された。歌舞伎や浄瑠璃の如き次代の創造の基礎を築いて置いたのもまたこの時代である。そういう点から見ればこの時代は創造的な時代、積極的な時代であって、決して闇黒な時代などではない。
が、われわれの問題にとって一層関係の深いのは、この時代の特徴を示す「倭寇」と「土一揆」との現象である。倭寇と呼ばれている海外進出の運動は、海外貿易と結びつき、この時代の重要な契機となっている。貿易はわが国の経済事情に著しい変化を与えた。貨幣経済が急激に発達し、利子を目ざす資本の蓄積がはじまり、都市が出現するに至ったことなど、すべてそこに聯関している。かくして資本の力は既に武力を掣肘し始めているのである。土一揆は主として農民の運動であって、貿易とは方面が異なっているが、しかし同様に民衆の力の解放として、この時代の重要な契機となっている。この民衆運動によって、日本の社会は一度作りなおされたのである。これらはヨーロッパの十四・五世紀にも著しく現われた現象であって、わが国に限ったことではないが、しかし直接に連絡のないヨーロッパと日本とにおいて、ほぼ時を同じゅうして同様な現象が見られることは、われわれ