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ふれんぞくさつじんじけん

不連続殺人事件

坂口 安吾

「日本小説 第一巻第三号~第二巻第七号」1947(昭和22)年8月1日~1948(昭和23)年8月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,047 字 · 322 页

青空文庫

ワケがわからなくなったという面持で、不機嫌に口をつぐんでいる。

「調理場の、どこのところで食事をとっておりましたか」

という問に、海老塚はジロリと反抗を見せただけで、返事をしようとしない。ツボ平のオカミサンが代って答えて、料理の性質によって、仕事場の多忙の場所が変化するたびに、あっちへ移り、こっちへ行き、時には椅子にかけたり、時には立ったまま、食事をしていたということであった。

訊問が終って警官の一行がひきあげるとき、ピカ一は、ややむつかしそうな顔付で、

「警部さん。オレは、もう、イヤになったね。東京へ帰っちゃ、いけないかなア」

「そうですなア。無理におひきとめは出来ませんが、特別の差しさわりがなかったら、もう暫く滞在していただければ、何かと好都合ですが」

「そうですか。別に用はないけれどもね。私は秋の展覧会の作品も、もう描きあげているから、そっちの心配もないのだけれども、イヤだなア、オレは、とにかく、明日から、オレの食べ物は、オレに作らせて貰うぜ」

「いけませんわ。そんな、あなたが、いやらしい。あなたこそ、私たちを毒殺しかねない悪者です」

あやかさんが、叫んだ。