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ふれんぞくさつじんじけん

不連続殺人事件

坂口 安吾

「日本小説 第一巻第三号~第二巻第七号」1947(昭和22)年8月1日~1948(昭和23)年8月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,047 字 · 322 页

青空文庫

七時二十分から八時までの間も、最後の患者の家からは、歩いてちょうどそれぐらいのもので、彼はビッコであるから、並の人よりいくらか時間がかかることも不思議ではないのであった。

神山夫人木曾乃さんも、当日はオトキの用意にテンテコ舞で手伝っており、調理場をはなれなかったことは多くの証人がおり、例の論語研究家も、その日は七八里はなれた町へ行っており、その町には彼のアリバイを証明する確実な証人があった。

私は当局ばかりじゃなしに、巨勢博士も、海老塚と神山について、メンミツに調査していることを知っていた。然し、やっぱり、このアリバイをひっくり返すことはできないようであった。

「ねえ、博士、このいくつかの事件は、犯人が別なんじゃないかな。歌川家の家族に関する事件と、千草さんや王仁や内海は、犯人が違っているんじゃないのか。時間的には連続していても、動機も犯人も別な事件が入りまじっていて、結局は不連続殺人事件じゃないのか」

「そうですね。この事件の性格は不連続殺人事件というべきかも知れません。私がこれを後世に記録して残すときには、不連続殺人事件と名づけるかも知れません。