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ふれんぞくさつじんじけん

不連続殺人事件

坂口 安吾

「日本小説 第一巻第三号~第二巻第七号」1947(昭和22)年8月1日~1948(昭和23)年8月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,047 字 · 322 页

青空文庫

すると、内海さんなんかも、容疑者から、まぬかれがたいようですな。その間に土居画伯は内海さんの先を越して戻られたから、まア、土居画伯に限って、ケンギの外におくべきかも知れませんな。私は然し、土居画伯も単独だから、単独は、ともかく、ケンギの一つですよ。なぜなら、私はこの村の地理にくわしいから心得ていますが、火葬場から峠へ上るでしょう。あそこから、二三町くると、ちょッと人目につきませんが、谷をわたって三輪神社へでる間道があるのですよ。道というよりも、まれにキコリが歩くような、そこの草だけが踏まれて生え方が少し低いという程度のものですがね。ともかく、この間道を三輪山へでると、三輪山を一廻りして歌川家の裏門まで戻ってきても、あたりまえの道を歌川家まで歩いたのと、十分か十五分の相違しかないのです。こういうヌケ道があるから、単独の人は、みんなケンギをまぬがれないのです。ただ土居画伯の場合は内海さんよりも先に帰っているから、これはまア、ケンギの外におくべきでしょう。そのほかの方はいけない。ヌケ道を一ッ走り、みんな、やれますよ。然し、ですな、ここに、もう一つ、問題がある」