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ふれんぞくさつじんじけん

不連続殺人事件

坂口 安吾

「日本小説 第一巻第三号~第二巻第七号」1947(昭和22)年8月1日~1948(昭和23)年8月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,047 字 · 322 页

青空文庫

然し、土居画伯が酔っていた、ということは、やっぱり考慮しなければならない。土居画伯が鎮座まします廊下の位置に近い人々、一馬さん、巨勢さんなどは、ちょッと顔をだしても怒鳴りつけられたかも知れませんが、もう丹後さんあたりからは、相当はなれているのだから、ふらりと便所へ行っても、土居さんもインネンをつけなかったと思いますがね。便所は土居画伯の鎮座の位置の反対側のことですからな」

彼は面白そうにジロジロと人々を見まわした。

「丹後さんと向いあって人見さん御夫婦。丹後さんの隣は私。その次が三宅さんと宇津木さん、その向いが一つ空室をおいて矢代さん。ところで、ですな。二階の便所は、便所へ行くと見せかけて、階段を下りることができるように出来ていますよ。こいつを見分けることは、酔っ払っていなくったって、土居画伯の鎮座の位置からは不可能なんですな」

一座は又、ちょッと、色めいた。これは然し、話術にすぎない。決して、実際の真理を洞破しているという性質からきているものではないのだから、私も癪にさわって、

「君の言うようじゃ、まるで私なんか、いつでも階下へ降りて内海を殺せると云ってるようじゃないか。