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ふれんぞくさつじんじけん

不連続殺人事件

坂口 安吾

「日本小説 第一巻第三号~第二巻第七号」1947(昭和22)年8月1日~1948(昭和23)年8月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,047 字 · 322 页

青空文庫

飾られてあった筈ですと一馬が答えた。

「昨夜も皆さんはこうして食卓についておられた。それから……」

「それから? いつもでしたら食事のあとはみんなバラバラになるのですが、ゆうべは矢代たち新客が到着したので、隣りの広間でおそくまで飲んだり話したり踊ったりしていましたが」

「兄さん、よして。警部さんは何が知りたいの? いつ、誰が殺したか。それだけでしょう。私が教えてあげますわ。王仁さんと私は一足さきに王仁さんの寝室へひきあげました。何時頃だか覚えていません。私が王仁さんの部屋を去るとき、王仁さんはもう眠っていました。そしてその時はデスクの上に、このライターも、口紅のついた吸いがらもなかったのです。私はタバコを吸いませんから。私は電燈を消して部屋をでました。それから先は、このライターの持主、宇津木秋子先生が話して下さる番ですわ。宇津木先生、どうぞ」

秋子さんはすでに覚悟していたようだ。

「私が王仁さんのお部屋へ行きましたのは、一時ごろです」

と、キッパリ言った。

「王仁さんは眠っていました。イビキをかいてらしたから、まちがいはありません。揺りうごかしても目をさます気配がありませんので、椅子にかけて、タバコを一本吸ったのです」