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ふれんぞくさつじんじけん
不連続殺人事件
「日本小説 第一巻第三号~第二巻第七号」1947(昭和22)年8月1日~1948(昭和23)年8月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,047 字 · 322 页
万事につけてひどく愛くるしいから、クレオパトラのようなツンとした女王性は微塵もないけれども、わがままであり、人の心をシンシャクしない。女房の義務など考えていないから、亭主へのサービスなどは思ったこともなく、したがって、亭主が何をしても平気の平左という様子、これが一馬には物足りない。自分一人を特別の男として特別に見てくれる風がないから、ノレンに腕押しの力負けで、物足りなかったり、不安であったり、無念であったり、それで恨みを述べると、あべこべに立腹されてしまうから、一馬先生顔色を失い、このところ全く圧倒されて、男一匹、わが身の拙なさ、だらしなさ、それとなく懊悩、叛逆の色も深い。
実際はあやか夫人に惚れすぎているからのことであるが、こうなると、浮気みたいなものがしてみたいような気持になるもので、私は疎開愚レン隊を一夏招待、これはどうも胡蝶夫人が狙いの筋ではないかと思った。彼のような坊っちゃんは人に好かれるのが嬉しくて、それを知らぬふり、そんな様子をしてみるのが好きなのだ。特に人の奥さんが亭主よりもひそかに自分を思ってくれるというようなことを確めて、それとなく素知らぬ素振りでその愛情を弄びいたずらするのが愉しいので、それは趣味上のこと、浮気というようなものではなくて、自ら飛びこんで口説くことなどできやしない。