轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
おおおかえちぜん
大岡越前
吉川 英治
「日光」1948(昭和23)年9月~1949(昭和24)年12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 218,436 字 · 437 页
「おととい、化物刑部のやしきで、阿能十に会ったら、そんなことをいっていた。そればかりじゃねえ。八丁堀のお島に可愛がられて、お島の情夫の赤螺三平に、あぶなく叩ッ斬られるところだったそうだが、三平が怖くて、逃げ廻っているのか」
「いや。三平ごときを怖れているわけではない」
「ホ。元気が出たな」
「ただ一目、兄上に会いたさ。兄上に会いたいばかりに、生きているのだ。亀次。わしの兄、主殿の消息は知らないか」
「主殿に会ってどうする気だい」
「今生のお詫びを申して……身の始末をつけるつもりだ」
「今生の? ……あははは。今生というと、来世もあるつもりか。よせやい。来世なんてものはありゃしねえ。あったにしても、あてになるもんか。人間の世の中なんてものは、来世も、来々世も、こんなもンだよ。――と、すれやあ、今生の根かぎり、楽しむしか手はねえじゃねえか。何を、せッかちに、死ぬ気になどなったもんだ」
「わしには、どうしても、おぬしのような気になれぬ。なろうと思って、やってみても」
「ハハハ。素人だよ、おめえは。そこがまだ悪党になりきれねえ初心を残している証拠だ。悪党になるんだって、修行が要らあ。