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おおおかえちぜん
大岡越前
吉川 英治
「日光」1948(昭和23)年9月~1949(昭和24)年12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 218,436 字 · 437 页
裁く者にも裁きあれ
左右太が、堀の茶漬屋から、根岸の御隠殿下へいそがせたことも。――そしてまた、そこの寺やしきの門を出た二つの絵日傘を尾けて行った左右太が、アッというまに、鶯橋のうえで、ふいに、うしろから締めつけた三名の兇漢のために、息の根を止められたように引きずられてゆき……そのまま寺屋敷の一軒のうちへ、吸いこまれるように隠れてしまった瞬間の出来事までを――辰は眼に見ていたのである。
――なぜ、助けなかったか。
を、連絡の半次になじってみても、むりであった。
相手は、腕力の強そうな浪人ばかり三名だったというし、しかも、側にいたわけではないし、アッというまに、事はすんでしまっていたという。
裁く者にも裁きあれ
今夜中にも、左右太の一命が危ういという事態は、一刻も、ふたりをそこに落着かせなかった。
すでに、魔の全貌は、あきらかにされた。
義平太と、勘蔵とは、すぐ手入れの諜しあわせを遂げた。
もう、夜だったが、半次は指令をうけて、奉行所へ、飛んで行った。
二人は、身仕度をそろえて、十手をたばさみ、
「お次さんも、左右太の身が心配で、帰るにも帰れまい。ひょっとしたら、行った先で、ひと役、頼むことがあるかもしれない。