轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

おおおかえちぜん

大岡越前

吉川 英治

「日光」1948(昭和23)年9月~1949(昭和24)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 218,436 字 · 437 页

青空文庫

……ともあれ、わしの屋敷へ来い」

「…………」

市十郎は、答えなかった。――本心がさめてくれば来るほど、何で、皆に、合わせる顔があろう。生きておめおめ、実家へもどることができよう。そう責められるのみだった。

「死なせたがよい。望みどおりにしてやりなさい」

同苦坊はいった。それがむしろ、慈悲であると説いた。

主殿の考えは、そういわれると、敢なく崩れた。――連れ戻っても、果たして、忠右衛門や兵九郎の肉親たちが、自分に、同意してくれるかどうか、それは多分に疑わしい。

また、かれを、一族の囚人とし、もしまた、勃然と、反抗を起して、ふたたび従兄の亀次郎のあとを追うようなことでも起ったら、もう取り返しはつかない。

「……そうだ」

主殿はひとり期するところがあった。

「弟に代って、この不具の身を……」と、ふと思ったのである。

それには、市十郎のいう通り、大岡家の菩提寺へ行こう。祖先の前で、この身を捨て、さいごの一言をもって、この弟の心を、根柢から鍛え直してやろう。

そう決意したので、主殿は、同苦坊のことばに従った。同苦坊は、これも宿縁、自分も浄見寺まで同行して、一片の回向を送ろうといった。