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おおおかえちぜん

大岡越前

吉川 英治

「日光」1948(昭和23)年9月~1949(昭和24)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 218,436 字 · 437 页

青空文庫

腹心となって、秘密裡に思召しを運びましょう。――ただ、お命じください。命のままいたします)

これが三名の一致したそのときの答えであった。

きょうのことは、人間越前守へかかって来た大難打開の一着手なのだった。仕事は、すべてこれからなのだ。

「お次さん、手伝ってくれるか。いや、もうこう打ちあけた以上、いやとはいわせない。」

「うれしゅうございます。……どんな事でも」

「左右太。うしろで聞いたろう。仲よく、手助ってもらえよ」

三人は、それからも、一刻ほど、何事か諜しあって、別れた。

左右太は、舟源の二階を借り、役所をしくじッたのを自慢のように、浪人ぐらしを初めていた。

舟源の夫婦は、かれと同郷の上総者。こんどのことは、さしつかえない限りにおいてはなしてある。

「旦那、やっと分りましたぜ。――あの晩の舟が」

この二階へ来てから七日目。舟源の亭主は、仲間のばくち場から飛んで帰って来て、かれに知らせた。

「やっぱり、旦那のカンは中たっていました。五人組の賊へ、舟を貸したのは、木更津船の岩五郎という船親方でした」

「どうして分った」

「岩五郎の乾分が、ばくち場で、ちらと、妙なことを口走りましたから、帰りを誘って、蛤鍋屋へつれこみ、かまをかけて、訊いたんです。