轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
おおおかえちぜん
大岡越前
吉川 英治
「日光」1948(昭和23)年9月~1949(昭和24)年12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 218,436 字 · 437 页
「滅相もございませぬ。……では、せめて、今日のお行先なと、お聞かせ下されませ。一同に申し告げて取り鎮めまする」
「ウム。さほど、その儀を案じるなら、申し明かしてもよい。聞けよ、越前守は今日、畢生の勇と信をかけて、単身、世上の悪の元兇を逮捕に出向うのじゃ。構えて、立ち騒ぐなよ。やがて、越前の行った先より、何らかの沙汰の知れるまで、汝ら初め、南町奉行所は、庶民の秩序と安穏を守る法の門を厳として崩さず、一同平常のように、ひそと、執務いたしておれ」
それは何か巨像が金剛の信を声に発したように二人の耳朶を打った。はっと、額ずいてしまうしか他の意志のうごくすきもなかった。――と、思ううち、越前自身はもう足をすすめて玄関の式台を降り、駕籠のわきへ、身をよせていた。
啼きすだく虫の秋をこの朝に、露ふかい木蔭草叢に、しゅくと、家人召使たちの嗚咽がながれた。――と、その中から、これは太く明るい声で、
「あ、もし。越前どの、すこしお待ち……」
と、呼びかけた者がある。
「おお、師の御坊」
越前も、振向いて、ニコと笑った。
生別の門
鉄淵禅師だった。
うしろに、もう一人、僧形の雲水がいた。