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しん・へいけものがたり

新・平家物語

吉川 英治

02 ちげぐさの巻

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 123,012 字 · 245 页

青空文庫

ここにも、衛府の侍が、辻立ちしていた。天皇と上皇のおん仲の冷やかさを映じて、武者仲間にも対立がある。――“雑武者”が癪だったにちがいない。清盛は、大きな眼で、大勢を迎えた。

どんな用でも、たれであろうと、ここは、通るを、ゆるさない。

もと、仕え人だった者が、街で事件をひき起こした。そのため、あらぬ疑惑を上西門院に向けられては、内親王へ、おそれ多い。――帰り給え、戻れ――と、衛府の侍たちは、名も問わず、用件も糾さず、ただ、さえぎった。

『いや、罷り通る』――肯く男ではない。清盛も、頑張った。

『そこの侍所まで、火急な用のあって、参らねばならぬ者』

と、まゆを昂く示し、

『いわでも、お分かりだろうが、鳥羽院の臣でござる。なんで、内親王さまに、御迷惑をおよぼすようなことを――』と、理屈をこねた。性来、はなはだ理屈ベタのかれである。その不得手をこねようとすると、顔ばかり染まり、いたずらに筋肉が隆起し、何か、精悍をあらわすのであった。いやに戦闘的な男とは、当然、誤解されやすい。

揉め始めた。――かれひとりと、十四、五人とで。

すると、上将らしい年配の武者が見まわって来た。