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しん・へいけものがたり
新・平家物語
吉川 英治
02 ちげぐさの巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 123,012 字 · 245 页
――それがこんどの盛遠追捕の場合にも、新しい火だねを見つけていぶり出したというだけに過ぎないのだ。
が。清盛は痛感する。あらためて、考えてみる必要にも迫られている。
――なぜといえば、昇殿問題の裏側には、ここにいる時信も、裏面に関係があった人だということを、ごく最近、父忠盛から、あらためて、打ち明けられていたからである。
時信も、そうだとすれば、禍は、姫の時子にも滋子にも、かたちをかえて、因果しているものといえよう。――清盛には、自分の生い立ちにかえりみて、充分に、うなずける。
――思えば、ばかなはなしだ。奇怪きわまる曲事だ。ついに、父忠盛の生涯は、そんなものに、葬り去られてしまうのか。一体、昇殿問題とは、どういうことなのか。真の禍因は、何なのか。
かれのつねにもつ懐疑でもある。
以下、余り旧事に属するが、略述しておくのも、むだではあるまい。
三十三間堂の建立は、鳥羽上皇の御願によるもの。一千一体の仏像をすえおかれ、供養をかねた落成式は、天承元年三月十三日の都じゅうをわきたたせた盛事であった。
その功もあって、平ノ忠盛には、給田を増され、特に昇殿の資格もゆるされた。