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しん・へいけものがたり

新・平家物語

吉川 英治

02 ちげぐさの巻

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 123,012 字 · 245 页

青空文庫

当然、ふたつのものは、水と油だった。

(なまじ、地下人の息子どもに、学問などかじらせたところで、なんになろう……)と、蔑視する一方と、

(いまにみろ。今に……)と現状組織のもとに、胆をなめて、無念を次代に托している組と――。これは、かれらの親同士もまた、暗々裡に抱いている通りなものの縮図だった。

中でも。

清盛などは、野性、貧乏、学力不足など、地下人的な特性を、もっとも、身にそろえていた方だから、公卿の子弟には、よく小ばかにされていた。しかし、妙に仲間からは、愛された。

勧学院を出ると、さらに最高学府の淳和院がある。だが、武家の子は武芸が専攻だという理由で、そこへは入学がゆるされない。清盛も、あとは、ほかの連中と同じように、兵部省に兵籍をおき、やがて、院の武者所へはいった。そして一応、勤めてはいたものの、父忠盛は、長年の籠居だし、母はあの通りであったので、持ちまえの懶惰とずぼらを伸ばすには、そこの勤めも、かっこうな温床だった。

ところが。例の、母の問題が、かたづいてから、忠盛は何か翻然とちがって来た。生活をあらためようとするらしく、

(おれも、まだ四十台。