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しん・へいけものがたり
新・平家物語
吉川 英治
02 ちげぐさの巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 123,012 字 · 245 页
おまえは、まだまだこれからの二十歳。世の有り様も、このままではすむまい。気をそろえて、やり直そう)
と、あれから間もなく、院へも、出仕し始めている。そして、父子ともに、近ごろはまったく別人のように、からっと明るくなって、人びとに伍していた。
『盛遠は、来ないのか。……遠藤も、見えたようだが』
『うム。……なんだか、あっちへ行ってしまった。呼ぼうか、ここへ』
『いや、よせよせ。なぜか、盛遠めは、近ごろ、おれに会うと、顔をそむける。それよりは、平太、見て来たか――』と、渡は、馬囲いの方を指さして、さっそく、かれの意見をたたいた。『……貴様は、どう見たか、あの青毛の四歳を。どうだ、あの駿馬は。すばらしいものだろうが』
清盛は、ふんと、鼻を鳴らした。次には、すこし唇をひン曲げて、首を振った。
『あの青毛か。……あれはいけないよ。あれはだめだ』
『え。どうして。……なぜ、あの名馬が』
『いくら名馬でも、惜しいかな、四白だもの。――馬相からいっても、四白は、凶馬の相としてある』
あぶみを踏まえても、馬相の眼識にかけても、渡は、人後に落ちないつもりだ。
が今、清盛から、四白だぞ、と注意されると、ちょっと、ぎょっとした顔いろだった。