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しん・へいけものがたり

新・平家物語

吉川 英治

02 ちげぐさの巻

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 123,012 字 · 245 页

青空文庫

四白というのは、鹿毛、栗毛をとわず、馬の四つ脚の蹄から脛に、そろって、白い毛なみを持っている特徴をいうのである。ごくまれにしかないが、あれば、不吉だと、むかしからいわれている。

――はて。そいつは、気づかなかった。

渡は、あきらかに、動揺をつつんだ。が、年下の清盛に、しかも馬相のことなどで、教えられたかのようなのは心外であった。佐藤義清が、ニヤニヤ聞いているてまえからも――だ。

『なに、四白では、だめだと。アハハハ。……それでは、武者は、スガ目、あばた、赤鼻などでは、皆だめか』

『おい。なんぼなんでも、おれの父を、馬のひきあいに出すのは、ひどかろう』

『だが、貴様までが、青公卿みたいな迷信をいうからだ。陽あたりのわるい堂上では、ややもすると、物の怪だとか、穢れだとか、やれ吉瑞の凶兆のと、のべつ他愛ないおびえの中で暮しているが、おれたち、陽あたりのいい土壌の若者には、そんな迷信など、とるにも足らん。……不吉というのは、むかし、そんな馬を飼った公卿が、長い顎でもかみつかれたか、腰の骨でもくだいたことから、いい始めたにちがいない』

渡は、必要以上に、抗弁したあげく、