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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

07 第七分冊

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 200,903 字 · 400 页

青空文庫

彼は真相をつぶさに語った。

忠勝は何よりも、

「謀叛人は」

と訊ね、明智と聞くと、初めて得心の色を示した。――それならあり得ないことではないという容子で。

しかしその予感も、こう突然、表面の事実にあらわれたとなると、忠勝も驚愕した。さしあたって、いま京都への途中にある自己の進退にも迷った。

「ではお許は、乱と同時に、急いで来たのだな」

「一刻も早くお館のお耳に入れたいとぞんじまして。……右大臣家亡き以上、さしずめ天下は乱脈の相を呈しましょう。それに処するお館の御思慮は重大ですからな」

「よくぞ。よくぞ」

と、忠勝は惜しみなく賞めて、同時に自分もここから引っ返すことに肚をきめた。

彼の主人家康の、ここ数日間の動静はどうかと見ると――月の末(五月二十八日まで)は京都見物に過し、二十九日には堺へ向い、晦日には、堺奉行所の公式の饗応に招かれたり、また松井友閑の案内で、遊覧などに送っている。

明けて六月一日も堺泊り。

その朝は、今井宗及の宅で、朝茶の招きがあり、種々の名器など見て、午すぎの半日は諸所の寺院など見てまわった。

その晩、家康は、

(右府様にも、そろそろ御上洛ある頃。