轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ちじんのあい
痴人の愛
谷崎 潤一郎
「大阪朝日新聞」1924(大正13)年3月~5月<br>「女性」1924(大正13)年11月~1925(大正14)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 179,399 字 · 353 页
未だに後から何かが追い駆けて来るような心地で、私はどんどん銀座の方へ逃げ伸びました。
尾張町のもう一つ左の四つ角へ出て、そこを私は新橋の方へ歩いて行きました。………と云うよりも、私の足がただ無意識に、私の頭とは関係なく、その方角へ動いて行きました。私の眼には雨に濡れた舗道の上に街の燈火のきらきら光るのが映りました。このお天気にも拘わらず、通りはなかなか人が出ているようでした。あ、芸者が傘をさして通る、若い娘がフランネルを着て通る、電車が走る、自動車が駆ける、………
………ナオミが非常な発展家だ。学生たちを荒らし廻る?………そんな事が有り得るだろうか? 有り得る、たしかに有り得る、近頃のナオミの様子を見れば、そう思わないのが不思議なくらいだ。実は己だって内々気にしてはいたのだけれど、彼女を取り巻く男の友達が余り多いので、却って安心していたのだ。ナオミは子供だ、そして活溌だ。「あたし男よ」と彼女自身が云っている通りだ。だから男を大勢集めて、無邪気に、賑やかに、馬鹿ッ騒ぎをするのが好きなだけなんだ。仮に彼女に下心があったとしたって、これだけ多くの人目があれば、それを忍べるものではなし、まさか彼女が、………と、そう考えたこの「まさか」