轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ちじんのあい
痴人の愛
谷崎 潤一郎
「大阪朝日新聞」1924(大正13)年3月~5月<br>「女性」1924(大正13)年11月~1925(大正14)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 179,399 字 · 353 页
私たちは暫くの間、この珍らしい新居にふさわしいいろいろの家具を買い求め、それらをそれぞれ配置したり飾りつけたりするために、忙しい、しかし楽しい月日を送りました。私は成るべく彼女の趣味を啓発するように、ちょっとした買物をするのにも自分一人では極めないで、彼女の意見を云わせるようにし、彼女の頭から出る考を出来るだけ採用したものですが、もともと箪笥だの長火鉢だのと云うような、在り来たりの世帯道具は置き所のない家であるだけ、従って選択も自由であり、どうでも自分等の好きなように意匠を施せるのでした。私たちは印度更紗の安物を見つけて来て、それをナオミが危ッかしい手つきで縫って窓かけに作り、芝口の西洋家具屋から古い籐椅子だのソオファだの、安楽椅子だの、テーブルだのを捜して来てアトリエに並べ、壁にはメリー・ピクフォードを始め、亜米利加の活動女優の写真を二つ三つ吊るしました。そして私は寝道具なども、出来ることなら西洋流にしたいと思ったのですけれど、ベッドを二つも買うとなると入費が懸るばかりでなく、夜具布団なら田舎の家から送って貰える便宜があるので、とうとうそれはあきらめなければなりませんでした。