轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ちじんのあい
痴人の愛
谷崎 潤一郎
「大阪朝日新聞」1924(大正13)年3月~5月<br>「女性」1924(大正13)年11月~1925(大正14)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 179,399 字 · 353 页
「だがいいですよ、まあ一遍はああ云う女に欺されて見るのも」
と、私は感慨無量の体でそう云いました。
「そりゃそうですとも! 僕はとにかくあの人のお蔭で初恋の味を知ったんですもの。たとい僅かの間でも美しい夢を見せて貰った、それを思えば感謝しなけりゃなりませんよ」
「だけども今にどうなるでしょう、あの女の身の行く末は?」
「さあ、これからどんどん堕落して行くばかりでしょうね。熊谷の話じゃ、マッカネルの所にだって長く居られる筈はないから、二三日したら又何処かへ行くだろう、己ンとこにも荷物があるから来るかも知れないッて云っていましたが、全体ナオミさんは、自分の家がないんでしょうか?」
「家は浅草の銘酒屋なんですよ、―――彼奴に可哀そうだと思って、今まで誰にも云ったことはありませんがね」
「ああ、そうですか、やっぱり育ちと云うものは争われないもんですなあ」
「ナオミに云わせると、もとは旗本の侍で、自分が生れた時は下二番町の立派な邸に住んでいた。『奈緒美』と云う名はお祖母さんが附けてくれたんで、そのお祖母さんは鹿鳴館時代にダンスをやったハイカラな人だったと云うんですが、何処まで本当だか分りゃしません。