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いしかりがわ
石狩川
本庄 陸男
「石狩川」大観堂、1939(昭和14)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 253,535 字 · 506 页
ついに、それでは――と、彼らは気荒く手ッ取りばやい結論をえらんだ。
「論より証拠と申すことがござる、これ以上わめき合う必要もあるまい、どちらが優れているものか、おのおのの方式によって合戦して見ようではござらぬか」
「よろしい」と相手もその申し出をとやかく考えてみる余裕はなかった。即座に引き受けてしまった。一旦口から出た言葉に責任をもたなければ彼らの武士がすたるであろう。
兵部省は薩長二派に別れてもみ合った。昨日まで朋輩呼ばわりをしていたような諸卿の慰撫が、激昂した彼らの耳にはいろうわけは無かった。ようやく西郷、山県の斡旋まで漕ぎつけ、そこで彼らは、陸軍はフランス式、海軍はイギリス式として辛うじて折れ合った。そのため省を二つに分離しなければならない。その予算も計上されねばならないのだ。
修使を拒否した朝鮮の対策もあった。
家禄に離れた家臣団の不平も導かれねばならぬものであった。旧幕時代に取りきめた屈辱的な条約の改正期もせまっていた。
更にいそいで解決しなければならぬものに樺太があった。ロシヤは、イギリス、フランスと手をにぎってじりじりと圧して来た。外務卿副島種臣は、そのまま渡さないとなれば、紛争の解決のため、若干の金によって買い取るもまた辞せないとした。