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どうひょう
道標
宮本 百合子
第一部「展望」筑摩書房、1947(昭和22)年10月号~1948(昭和23)年8月号<br> 第二部「展望」筑摩書房、1948(昭和23)年9月号~1949(昭和24)年5月号<br> 第三部「展望」筑摩書房、1949(昭和24)年10月号~1950(昭和25)年2月号、1950(昭和25)年4月~12月号<br> 資料「展望」筑摩書房、1949(昭和24)年8、9月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 846,457 字 · 1672 页
みんなのソヴェトに対する態度でよくわかる――要するに影響されるのが、こわいんですね」
蜂谷は、つっこんでゆく素子の言葉を、だまって終りまできいている。そして素子が云い終ると、それが彼の癖の、伏目になってきいていた眼をあげて、ゆっくり考えを辿るように、
「吉見君のいう心理もたしかに、どっかにはあるだろうな」
浅黒い皮膚の下に、微かな赧らみがのぼった。
「しかし、少くとも僕はそれだけじゃないんだ。――どうもひとことに説明しにくいが――。これは、一つの例だがね、コミンテルンの第六回大会の決議では、国際情勢の特徴を帝国主義戦争とファシズムの危険においている。僕もそれは正しいと思う。ところがね、ここの共産党だのマルクシストって連中は、かんじんのフランス自体の帝国主義の実状やファシズムの実力については、案外呑気なんだな。僕は、去年からかなりいろんな人と話して見ているが、概してそうなんだ。フランス人のもっている自由の伝統はドイツとはちがう。イタリー人ともちがう。はっきりそう云うんだ。一種の誇りがあるんだな。そのために、かえって、ここの共産党は社会民主主義者と自分たちの区別をはっきりしないし、右翼的になったりウルトラじみたりして、去年のフランス問題では『リュマニテ』