轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

どうひょう

道標

宮本 百合子

第一部「展望」筑摩書房、1947(昭和22)年10月号~1948(昭和23)年8月号<br> 第二部「展望」筑摩書房、1948(昭和23)年9月号~1949(昭和24)年5月号<br> 第三部「展望」筑摩書房、1949(昭和24)年10月号~1950(昭和25)年2月号、1950(昭和25)年4月~12月号<br> 資料「展望」筑摩書房、1949(昭和24)年8、9月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 846,457 字 · 1672 页

青空文庫

その黄色いビラは、火の十字架運動の署名だった。いつかの夜蜂谷良作がヴォージラールのホテルのテラスで伸子に説明してきかせたように、クロア・ド・フウはフランスで、最もよく武装されたファシスト団体だった。フランス共産党の内部に悪質なトロツキストの秘密組織があるらしいことは、八月一日の反戦示威の直前、サン・ジョルジュで中央部の会合が一斉に検挙されたことにふれて蜂谷も云っていたことだった。こんどの検挙も怪しいものだ。蜂谷がそういう意味は、党を混乱させ、指導権を握っているために、労働組合の統一戦線を主張している人々をふくむ中央部に対してその一味が企んだ挑発と内通であるという意味なのだった。

伸子の視線を追って、黄色いビラを見ていた蜂谷良作は、やがて、

「ね、佐々さん」

伸子をゆりうごかすような口調で云った。

「ともかく、あしたクラマールの家をごらんなさい。そして、クラマールへ来ることにおきめなさい。一緒に勉強しよう」

彼はつづけて云った。

「少くとも僕は、佐々さんと話するようになってから、実に刺戟をうける。この勢で、僕もひとつがんばるんだ」

蜂谷良作のパリ滞在も、あと一年はないのだった。