轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
どうひょう
道標
宮本 百合子
第一部「展望」筑摩書房、1947(昭和22)年10月号~1948(昭和23)年8月号<br> 第二部「展望」筑摩書房、1948(昭和23)年9月号~1949(昭和24)年5月号<br> 第三部「展望」筑摩書房、1949(昭和24)年10月号~1950(昭和25)年2月号、1950(昭和25)年4月~12月号<br> 資料「展望」筑摩書房、1949(昭和24)年8、9月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 846,457 字 · 1672 页
「だって、疲れきっているのがわかっているのに――一人でやるなんて……」
須美子は、ためらうようにしていたが、
「この方がマルセーユまで来て下さることになって居りますから……」
彼女のわきに立って赤坊を抱いている青年に顔を向けた。
「――ああ、それなら、どんなにかいいわ――どうぞ、くれぐれもよろしくね」
言葉すくなに、しかしゆきとどいて用意されている出発。それも須美子らしかった。
発車がせまって、細っそりステップに立っている須美子のうしろから、プラットフォームの人々に挨拶しようとする二つ三つ外国人の顔が重なった。
「何だか、あぶないわ、うしろから押されそうで。――こっちへ行きましょう、窓のところへ」
やがて動き出した窓について、伸子は暫くの間いそぎ足にプラットフォームを進んだ。列車の速力はまして、手をふっている須美子のおかっぱの頭もやがて前方の人むれに遮ぎられた。
二
その一日のうちに重なった二度の見送りは、どちらもパリにのこる伸子に悲しさや、寂しさをのこした。
翌日、伸子は終日ひとりで、余韻のふかいこころもちのうちに暮し、市内ですましておかなければならない用事を果した。