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どうひょう
道標
宮本 百合子
第一部「展望」筑摩書房、1947(昭和22)年10月号~1948(昭和23)年8月号<br> 第二部「展望」筑摩書房、1948(昭和23)年9月号~1949(昭和24)年5月号<br> 第三部「展望」筑摩書房、1949(昭和24)年10月号~1950(昭和25)年2月号、1950(昭和25)年4月~12月号<br> 資料「展望」筑摩書房、1949(昭和24)年8、9月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 846,457 字 · 1672 页
東支鉄道問題で蒋介石政府を支援して、ソヴェト同盟との紛糾を長びかせているのは、中国のそとの帝国主義の国々であることは、パリにいてモスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)の外からそのいきさつを見ている伸子に、はっきりわかった。パリに「プラウダ」はなくても、事実は「リュマニテ」が語った。
多計代が、シベリア鉄道へのりつぐためにモスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)で過す十二時間を、藤原威夫のところで過した、ということは伸子の予想さえできなかったことだった。パリの生活で、伸子は、藤原威夫の存在をほとんど忘れていた。けれども、多計代は、モスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)、そこに藤原威夫がいる、と、その一つに焦点を合わせたようにして、彼と連絡したのだ。
伸子には母のやりかたがおそろしかった。多計代は、いつの間にモスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)の藤原威夫とそんなうちあわせをしていたのだろう。シベリア鉄道で帰るときめてから、多計代は、伸子に一緒に帰ろうとすすめなくなった。いろいろの手伝いはさせながら。伸子と自分たちとは、わけるように、わけるようにした。