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どうひょう
道標
宮本 百合子
第一部「展望」筑摩書房、1947(昭和22)年10月号~1948(昭和23)年8月号<br> 第二部「展望」筑摩書房、1948(昭和23)年9月号~1949(昭和24)年5月号<br> 第三部「展望」筑摩書房、1949(昭和24)年10月号~1950(昭和25)年2月号、1950(昭和25)年4月~12月号<br> 資料「展望」筑摩書房、1949(昭和24)年8、9月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 846,457 字 · 1672 页
それが文明社の綜合雑誌にのった。そしてモスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)の吉見素子へ原稿料がおくられて来た。九十九円七十五銭は、その原稿料なのだった。これはおはつだから、みんなぶこちゃんに進呈する。素子の手紙にはそう書かれていた。いつも書くことをすすめていてくれたのは、ぶこだから。そして、ぶこがそっちにいて、わたしは一人だもんだから、話しあいてもなくて、ついそんなものを書いてみる気にもなったんだろうから、と。
伸子は、はじめどこか上の空のような視線でその小切手を眺めた。その小切手が送られてきた手紙が、同時にモスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)へ着いた日の多計代の行動を知らしていたのだった。
伸子は、ベルネの二階のせま苦しい机の上で、絵入りの礼手紙をモスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)の素子にあてて書いた。中央にはモスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)の小さい四角な換気窓のついた二重窓に向って、あちら向きに机についている素子の後姿がある。伸子は首を曲げまげ、素子の特徴である撫で肩の工合が、そっくりのように描いた。そのぐるりの、ふち飾りのようにして、いろんなものを描いた。