轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

どうひょう

道標

宮本 百合子

第一部「展望」筑摩書房、1947(昭和22)年10月号~1948(昭和23)年8月号<br> 第二部「展望」筑摩書房、1948(昭和23)年9月号~1949(昭和24)年5月号<br> 第三部「展望」筑摩書房、1949(昭和24)年10月号~1950(昭和25)年2月号、1950(昭和25)年4月~12月号<br> 資料「展望」筑摩書房、1949(昭和24)年8、9月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 846,457 字 · 1672 页

青空文庫

伸子がどんな渦巻にまきこまれかかったか。――伸子はノートの上に瞼をおとし、自分の動悸とともに蜂谷の声を、すこし遠いところからきく。

「いかなる人も農奴と領主、家臣と藩主、俗人と僧侶という風に相倚存――倚存の倚は倚るという字ね、ニンベンの――相倚存していることが見出される」

クラマールの朝と夜は冬らしい寒さになって来た。

「お早う、マドモアゼル」

と、朝の八時すぎに伸子の室のドアをノックしてはいって来るベルネのお婆さんの手はますます赤く、彼女は煖炉の火種を運んで来た。

伸子がまだ寝台にいるわきのジュータンの上へ大前かけの膝をついて、彼女は上手に火をおこした。ベルネの家庭では、朝と夜しか煖炉の火をこしらえなかった。ベルネの家の煖炉を見て伸子はパリの屋根屋根に林立している煙突のどれもが細いわけをのみこんだ。パリの人々は、豆炭を煖炉につかっているのだった。豆炭の熱は、カッときつく顔ばかりのぼせるようで、こころもちがわるかった。煖炉の豆炭がすっかりおこるまで、皮膚をさすような匂いがなくなるまで、伸子は洗面所の窓ぎわで新聞を見ていることがある。

アメリカの恐慌は、十一月にはいり、月の半ばに進んでも、たしかな安定は見出していなかった。