轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
どうひょう
道標
宮本 百合子
第一部「展望」筑摩書房、1947(昭和22)年10月号~1948(昭和23)年8月号<br> 第二部「展望」筑摩書房、1948(昭和23)年9月号~1949(昭和24)年5月号<br> 第三部「展望」筑摩書房、1949(昭和24)年10月号~1950(昭和25)年2月号、1950(昭和25)年4月~12月号<br> 資料「展望」筑摩書房、1949(昭和24)年8、9月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 846,457 字 · 1672 页
――
シーツごしに蜂谷の全身がふるえ、てのひらいっぱいの力が、伸子の背中を撫でおろした。それと同時に、伸子は、破れたような一つの声をきいた。
「ああ、伸子さんは、すっかりきものを着ている!」
すっかりきものを着ている――? 何のことだろう。すっかりきものをきている。…………
伸子は、そのかけものの下へすべりこんだと同じ軽さとしなやかさで、いつの間にか蜂谷の寝台からぬけ出た。そして、そばの椅子につかまった。蜂谷から目をはなさず。
「なんてひとだろう! そんなに僕を苦しめなくたっていいじゃないか」
伸子は蜂谷を苦しめようと思ったことは一度もない。だけれども、すっかりきものを着ていない自分というものは、伸子に考えられない。
「僕ははじめからよくわかっているんだ、僕が佐々さんを愛しているように愛していてはくれないんだ……だからって、侮辱しなくたっていい」
侮辱――? それも伸子におぼえのあることではない。
「こっちへ来て」
そういう蜂谷の顔は、伸子に見なれないものだった。
「…………」
反対に伸子は椅子のむこう側にまわって、寝台と自分が立っているところとの距離を大きくした。