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どうひょう
道標
宮本 百合子
第一部「展望」筑摩書房、1947(昭和22)年10月号~1948(昭和23)年8月号<br> 第二部「展望」筑摩書房、1948(昭和23)年9月号~1949(昭和24)年5月号<br> 第三部「展望」筑摩書房、1949(昭和24)年10月号~1950(昭和25)年2月号、1950(昭和25)年4月~12月号<br> 資料「展望」筑摩書房、1949(昭和24)年8、9月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 846,457 字 · 1672 页
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――わたしの愛の小舟は難破した――
そのすべての意味が、伸子の心を貫いて閃くようにのみこめた。マヤコフスキーが、こんなにいつもいそぎつづけて、はげしく進むソヴェトの事業の第一列よりも猶先へ立とうと力をつくして生きたにもかかわらず――いいえ、そうではない、彼が詩人らしい正直さと情熱で自分により高い任務をさずければさずけるほど、彼の革命的抒情詩の骨格であるシムボリズムとロマンティシズムが、重荷になって――いそいでもいそいでも、あるいは、いそげばいそぐほど自分から抜け出ること、自分を追いぬくことのまどろっこしさに辛抱しきれず、マヤコフスキーは、革命への愛、民衆の建設への愛の小舟を難破させてしまった。
マヤコフスキーは、大きい誤りをおかしたと公的に云われていて、しかも伸子はその言葉に冷酷な非難を感じなかった。今夜工芸博物館にレーニングラードから来た作家たちの「文学の夕べ」が開かれ、会場ではフェーディンが心をこめてマヤコフスキーの詩を朗読した。その詩は、エセーニンが自殺したとき、マヤコフスキーが書いた作品だった。詩は、なまなましい傷心と生の確信とが不思議な激情となってまじりあっているようだった。