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どうひょう
道標
宮本 百合子
第一部「展望」筑摩書房、1947(昭和22)年10月号~1948(昭和23)年8月号<br> 第二部「展望」筑摩書房、1948(昭和23)年9月号~1949(昭和24)年5月号<br> 第三部「展望」筑摩書房、1949(昭和24)年10月号~1950(昭和25)年2月号、1950(昭和25)年4月~12月号<br> 資料「展望」筑摩書房、1949(昭和24)年8、9月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 846,457 字 · 1672 页
ものだとけなされようとも、その単純な農業機械が、ソヴェトの人々にとってどういう別個の意味をもつかということを、実感で区別するようになってしまったのだった。
ほんとうに、伸子は、いつの間にか、自然にそうなってしまったのだった。素子が、大学の教室に坐り、プーシュキンの詩の韻律の分解をし、書籍のリストを整理し、それをふやしていたうちに。長い過程の上におこったこういう状態として、二人の間に生じた問題を扱ってくれたら。――伸子たちの苦痛を複雑にしているのは、二人の生活について来ている素子の側からのなみはずれな感情の要素のせいだった。素子の傷つきやすさ。伸子の動きのすべてを、自分に対する献身かさもなければ裏切りの、そのどちらかとしてしかうけとれないような、激しい感情の習癖。
素子自身、その苦しさに圧しつけられながら、伸子に対して懲罰的な、つきはなした態度をかえないのだった。
伸子は、一日のうち、一定の時間だけ、翻訳の仕事をすると、あとは多く外出しているようになった。素子のかわりに、雑誌の予約をするというような用事のあることもあった。全然用事のないこともある。