轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
どうひょう
道標
宮本 百合子
第一部「展望」筑摩書房、1947(昭和22)年10月号~1948(昭和23)年8月号<br> 第二部「展望」筑摩書房、1948(昭和23)年9月号~1949(昭和24)年5月号<br> 第三部「展望」筑摩書房、1949(昭和24)年10月号~1950(昭和25)年2月号、1950(昭和25)年4月~12月号<br> 資料「展望」筑摩書房、1949(昭和24)年8、9月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 846,457 字 · 1672 页
長逗留の準備のために、七階へうつった伸子と素子とは、屋根裏部屋へ引越したかわりに、めいめい一つずつの室をもった。露台から遠くエッフェル塔が見えて、眺望のひらけた室であるかわりに伸子は西に面した室を。廊下をへだてた素子の室は、東側のかわり、内庭を見おろして、いくらかやかましかった。内庭に面した室の天井はあたりまえの高さだったが、伸子の室では、寝台のおかれている側と反対の一隅で斜かいに屋根の勾配が見えていた。藍と黄のマチスごのみの壁紙ではってあるその勾配の下に、三階の室にあったものより粗末な化粧台が、三面鏡のかわりに単純な一面の鏡をもって置かれている。一人室のここでも寝台はやっぱりかさばって室の大きな部分を占めているのであったが、屋根裏の勾配や簡単な化粧台はその室の気分を、伸子のおちつきいい程度の学生っぽさにしているのだった。
七階には、ほかの室にも伸子たちのように贅沢につかう金はもっていないがその夏をパリで暮そうとしているアメリカ人の若い女が二組ほどとまっていた。そのうちの一組は伸子たちのように向い合わせた室を別々にもっていた。ホテルじゅうに人気がすくなくなっていて、室にいるものは昼寝でもしたい午後の時刻、廊下のどんづまりに向い合った室をもっている伸子と素子とは、涼しくいるために、互の室のドアをあけはなし