轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

どうひょう

道標

宮本 百合子

第一部「展望」筑摩書房、1947(昭和22)年10月号~1948(昭和23)年8月号<br> 第二部「展望」筑摩書房、1948(昭和23)年9月号~1949(昭和24)年5月号<br> 第三部「展望」筑摩書房、1949(昭和24)年10月号~1950(昭和25)年2月号、1950(昭和25)年4月~12月号<br> 資料「展望」筑摩書房、1949(昭和24)年8、9月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 846,457 字 · 1672 页

青空文庫

伸子はそのときのはっとした思いを忘られなかった。多計代は、誠実とか純潔とかいうことを保あいてに情熱的に話すのが大好きだったが、もしかしたら保は次第に母と越智との現実に、母の言葉とちぐはぐなこともあったことを感じはじめていたのではなかったろうか。保は、母の話におとなしく対手になりながら、あのふっくりした瞼のかげに平らかにおいた瞳のなかで母のために愧しさを感じていたのではなかったろうか。

相川良之介のように複雑な生活の経験がなく、また性格的に相川良之介のように俊敏でない保に、生きるに生きかねる漠然たる不安というようなものがあったとは伸子に思いかねた。二十一歳の保は、一本気に自分流の観念に導かれて、その生きかたを主張する方法として死ぬことを選んだのだったろう。いずれにしろ、保はもう生きていない。生きて、いない――何という空虚感だろう。その空虚の感じは伸子の吸う息と一緒に体じゅうにしみわたった。そして保がもういないという空虚感には、九つ年上の姉の伸子が、保というものを通じて、漠然と自分よりも年のすくない新鮮な男たちにつないでいたいのちの断絶も加わっていた。