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どうひょう
道標
宮本 百合子
第一部「展望」筑摩書房、1947(昭和22)年10月号~1948(昭和23)年8月号<br> 第二部「展望」筑摩書房、1948(昭和23)年9月号~1949(昭和24)年5月号<br> 第三部「展望」筑摩書房、1949(昭和24)年10月号~1950(昭和25)年2月号、1950(昭和25)年4月~12月号<br> 資料「展望」筑摩書房、1949(昭和24)年8、9月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 846,457 字 · 1672 页
「スタニスラフスキーって、どんな人です?」
「なかなか立派ですよ。もっとも、もうすっかり白髪になっていますがね」
「ともかく、М・Х・Тが、こんど『装甲列車』を上演目録にとり入れたことは、画期的意味がありますよ、何しろ、がんこに『桜の園』や『どん底』をまもって来たんだから」
瀬川が、白髪のスタニスラフスキーのもっている落付いた前進性を評価するように云った。
「そうですよ、私もその点で、彼に敬意を感じるんです。『桜の園』にしろ『どん底』にしろ演出方法は段々変化して、チェホフ時代のリアリズムに止ってはいませんがね。『装甲列車』を、あれだけリアルに、しかも、あれだけ研究しつくして、はっきり弁証法的演出方法で仕上げたのはすばらしいですよ。おそらくこのシーズンの典型じゃないですか」
話をききながら伸子は眼をしばたたいた。演出の弁証法的方法というのは、どういうことなのだろう。伸子がよんだ只一冊の史的唯物論には、哲学に関係する表現としてその言葉がつかわれていたが。
素子が、淡泊に、
「リアリズムと、どうちがうんです?」
と秋山に向って質問した。秋山は、すこし照れて、手をもみ合わせながら、