轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
どうひょう
道標
宮本 百合子
第一部「展望」筑摩書房、1947(昭和22)年10月号~1948(昭和23)年8月号<br> 第二部「展望」筑摩書房、1948(昭和23)年9月号~1949(昭和24)年5月号<br> 第三部「展望」筑摩書房、1949(昭和24)年10月号~1950(昭和25)年2月号、1950(昭和25)年4月~12月号<br> 資料「展望」筑摩書房、1949(昭和24)年8、9月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 846,457 字 · 1672 页
婚約指環と云っても、そこには、どこかに勤めて一定の月給をとっている男と看護婦であるミス・ジョーンズとのつましい生活設計が感じられる。ふと読んだ「頸飾」の物語から、何とはなし自分たちの婚約指環を出して見る心持になったミス・ジョーンズに伸子は同感できるのだった。
その夜、七時になると、ミス・ジョーンズはいつものとおり伸子の髪をとかして二本の編下げにし、体じゅうを湯で拭いてアルコールをぬり、タルカム・パウダーをつけて、彼女の一日の勤務を終った。最後にスティームを調節して病室を出て行こうとするミス・ジョーンズに、伸子は、
「ミス・ジョーンズ、あなた、これからまだ手を洗わなければならないの?」
ときいた。
「いいえ。もうすっかりすみましたよ」
「じゃあ、あの指環をおはめなさいよ。わたしは、あなたがあれをはめて帰るところが見たいのよ」
ミス・ジョーンズは思いがけない注文をうけたように、ちょっとの間伸子を見て黙って考えていたが何か思いついたように、
「じき戻って来ますから」
ドアをしめて出て行った。ほんとにじき廊下に足早な女の靴音がきこえ、ノックと同時にドアが開いた。着物を着かえて来たミス・ジョーンズだった。