轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
どうひょう
道標
宮本 百合子
第一部「展望」筑摩書房、1947(昭和22)年10月号~1948(昭和23)年8月号<br> 第二部「展望」筑摩書房、1948(昭和23)年9月号~1949(昭和24)年5月号<br> 第三部「展望」筑摩書房、1949(昭和24)年10月号~1950(昭和25)年2月号、1950(昭和25)年4月~12月号<br> 資料「展望」筑摩書房、1949(昭和24)年8、9月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 846,457 字 · 1672 页
保がああして死んで、伸子は何が多計代にうちあけられたろう。伸子には保の死について多計代の責任を感じる和解しがたい思いがある。それは、保が亡くなってからの伸子の生きてゆく意識に作用している。伸子は保であるまいとしているのだった。人生に対して。母というものに対して。どうして、それやこれやのことが、手紙のようなものに書けよう。議論される余地のあることではなかったのだから。伸子にとってそれは自分の生そのものなのだから……
思い沈んでだまっていた伸子に、藤原威夫は、彼もその間に彼自身の考えの筋を辿っていたらしく、しかしなんですな、と云った。あなたのお母さんはさすが井村先生の令嬢だけあって、皇室に対しては今どきめずらしい純粋な気持をもっておられるですね。お話をうかがって敬服しました。
藤原威夫のその軍人らしい賞讚の言葉を、伸子はぼんやりと実感なくきいていた。母が、皇室に対して純粋な気持をもっている――それは何だかまるで生活からはなれていて伸子の感情にない問題だった。自分の感情の中に合わせるピントがないという意味で、伸子は母と藤原威夫という軍人とはっきり別な自分を感じるのだった。