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どうひょう

道標

宮本 百合子

第一部「展望」筑摩書房、1947(昭和22)年10月号~1948(昭和23)年8月号<br> 第二部「展望」筑摩書房、1948(昭和23)年9月号~1949(昭和24)年5月号<br> 第三部「展望」筑摩書房、1949(昭和24)年10月号~1950(昭和25)年2月号、1950(昭和25)年4月~12月号<br> 資料「展望」筑摩書房、1949(昭和24)年8、9月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 846,457 字 · 1672 页

青空文庫

ウィーンからプラーグ。そこからカルルスバードへ行き、ベルリン、パリという順だった。それにしても、伸子がいつ退院できるものか。うちへは、今月末までに退院と電報をうってやったけれども、それは退院の見こみ、または伸子たちの予想というだけで、フロムゴリド教授はその点について、はっきりしたことは何も言っていなかった。ただ、教授の話しぶりから伸子自身が、内科的な治療としてはするべきことがすべて試みられたこと、フロムゴリド教授は現在肝臓のはれのひききらない状態のまま伸子がだんだん動けるように訓練していること。しかしそれは快癒の状態ではないから、外科に診察をうけさせようと思っていることなどを判断しているのだった。そして、自分としてはかたく心をきめているのだった。よしんば不十分な癒りかたであるにしても、白くて、丸くすべすべした自分の脇腹から年じゅう胆汁を流す一本のゴム管をぶら下げて生きていなければならなくなるような手術は断じて受けないと。伸子は不具のような体になるのはいやだった。ブラウスの下にゴム管をさげている女の姿を想像すると、伸子はそこに遮断され、限定された未来を感じた。